ランチョンセミナー

11月20日 (月) 11:50〜13:05/B2 棟 102号室

主催 バイオタージ・ジャパン株式会社
演題 性ホルモン依存性疾患治療薬を指向した TAK-683 の創製
演者 西澤 直城(Axcelead Drug Discovery Partners 株式会社)

近年ペプチド性医薬品の創製研究は様々な新規手法の開発により、急速に発展しております。本セミナーでは製薬企業におけるペプチド創薬の取り組み、および一般的手法をご紹介し、ペプチド創薬の一例として臨床開発化合物であるノナペプチド KISS1R アゴニスト TAK-683 の創製過程についてご紹介いたします。

要旨 PDF をダウンロード


11月21日 (火) 11:45〜13:00/B2 棟 102号室

主催 東ソー株式会社
演題 ペプチドを用いた細胞内デリバリー
演者 二木 史朗(京都大学 化学研究所 生体機能設計化学研究領域 教授)

抗体は、その高い分子認識能力と強い結合力から、生命科学研究の道具として広く利用されています。抗体を生きた細胞の中で働かせることができれば、細胞内の特定のタンパク質の役割を明らかにしたり、働きを調節したりすることができます。このためには、抗体を生細胞内に導入する手法が不可欠です。抗体などのバイオ高分子を細胞内に運び込むには、細胞の養分取りこみ作用(エンドサイトーシス)の利用が現実的です。この際、取りこみ小胞(エンドソーム)から細胞内(サイトゾル)に、抗体が放出されることが必要になります。

私達の研究グループは、クモ毒由来の溶血ペプチド、M-lycotoxin をもとに、エンドソームを効果的に不安定化するペプチドの開発に取り組んできました。M-lycotoxin には細胞膜の構造を強く撹乱し、破壊する働きがあります。私達は M-lycotoxin のアミノ酸配列を一部置き換えることで、細胞膜は破壊せず、エンドソーム膜を選択的に不安定化し、抗体を細胞内へ放出するペプチド L17E の開発に成功しました。このペプチドを用いて細胞外から導入した抗体により、細胞内タンパク質の局在の可視化や、細胞内タンパク質が関わる遺伝子発現の抑制ができることが示されました。

(参考文献:Akishiba ら, Nat. Chem. 2017, 9, 751-761)

要旨 PDF をダウンロード