九州大学大学院理学研究院化学部門 主幹教授
九州大学 リスクサイエンス研究センター センター長
下東 康幸

この度、第12期の日本ペプチド学会・会長に選任されました。微力ではありますが、理事、監事、評議員の先生方々と力を合わせ、学会、そして、会員の皆さんのお役に立てるよう鋭意、努める所存です。何とぞよろしく、ご協力のほどお願い申し上げます。

1990年、日本ペプチド学会が組織されました。今年で22年になります。一方、日本におけるペプチド科学者の集会が始まったのは、大阪大学に於いて第1回ペプチド化学討論会が開催された1962年です。この第1回討論会からの半世紀、50年の間、我が国におけるペプチド科学はきわめて多彩な研究領域で基盤的な発展を遂げ、多くの分野で国際的に高く評価されてきております。今後とも、ますますの発展を期して頑張って行きましょう。

さて、1998年よりは毎年の年会を「ペプチド討論会」と改称し、広くペプチド科学の発展を期する研究者の結集をはかり、ペプチドに係わる総合的な学術集会として内容の充実に取り組んでおります。現在、一般的には研究分野、研究領域が細分化し、あるいは先鋭化する一方で、複合領域、新領域などと、統合・融合化も進んでいます。こうしたなか、学究・学術の健全な進展は、なるべく多様な領域の研究者が集い、討論し、協働することで大きく促進されます。これは自身の研究進展においても大切です。ペプチド科学の研究においては、正に多種多様な分野、領域で、多くの研究者が真摯に、鋭意に取り組まれております。こうした多くの研究者がペプチド討論会、そして、日本ペプチド学会に結集できること、結集することを願って止みません。

ところで、2015年には第50回ペプチド討論会が記念大会として、第1回討論会が開かれた大阪大学(コンベンションセンター)にて開催されます。また、この記念大会は、第4回アジア-太平洋国際ペプチドシンポジウム(APIPS)と併催されます。さまざまな分野でグローバル化が進むなか、ペプチド科学の研究も日常的、また、定常的にグローバルな視点、あるいは視野が求められます。第4回 APIPS の開催により、「ペプチド討論会を約3年に1回は国際学会とする」という方策が、2004年以来すっかり定着することになります。今後ともの発展が期待されます。

2001年からは、会員の皆さんの多様な問題意識、課題探求の意識から、ペプチドフォーラムが開催され、これまでに15回を数えます。ペプチド科学の礎、基盤の拡大、発展にとても大切な取り組みです。これからもどしどし新奇なフォーラムを組織・開催して欲しいと思います。ところで、次代を担う若い研究者の方の活躍は、学会の永続的な発展のために大切な要件ですが、これまでに築き上げられた領域研究の継代のみならず、新奇な領域や分野での新興、萌芽の研究展開も期待されます。挑戦的な取り組み、果敢な挑戦を大いに期待いたします。

男女共同参画の取り組みは、学界に切要のものとして求められております。まずは、これまで以上の女性研究者の活躍が期待されますが、日本ペプチド学会としても今期から本腰を入れて取り組もうとしております。会員の皆さんが、より良い環境の中でペプチド科学の研究に邁進されることを心より祈っております。そして、一緒になって学会のますますの進展、発展をはかりましょう。

日本ペプチド学会は、学会賞、奨励賞および討論会でのポスター賞の授与、若い会員の国際学会(APS、EPS、IPS、APIPS、そして中国および韓国の討論会)への参加を支援する JPS Travel Award の授与を行っております。奮って応募ください。また、市民フォーラムの開催、ペプチドフォーラムの開催、夏の学校の開催の支援などを定常的に行っております。より良い学会の未来のため、共に邁進して行きましょう。

学会に対する要望などありましたら、会長、あるいは執行部、学会事務局までどしどしお寄せいただけると幸いです。皆様の研究のますますの発展を心より祈念いたします。