第54回ペプチド討論会は,2017年11⽉20⽇(⽉)から22⽇(⽔)の⽇程で,⼤阪府⽴⼤学の藤井がお世話させていただきました。会場である⼤阪府⽴⼤学は,地下鉄御堂筋線「なかもず」駅が最寄り駅で近畿全域からのアクセスも⽐較的良く,仁徳天皇陵をはじめとする100基を超える古墳郡に囲まれた⾃然豊かなキャンパスです。本会場の学術情報センター⼤ホール(U ホール⽩鷺)では⼝頭発表を⾏い,ポスター発表と企業展⽰を学術交流会館で執り⾏いました。会場の移動に少しご不便をお掛けしたかもしれません。開催期間の3⽇間は天候にも恵まれ,海外からの参加者の⽅々にもキャンパス内の紅葉を楽しんで頂きました。
今回の討論会では,⼝頭発表48題(内訳:特別講演1題,受賞講演3題,招待講演2題,⼀般18題,若⼿24題),ポスター発表162題の申し込みを頂くことができました。発表・討論にご参加いただきました先⽣⽅に感謝申し上げます。また,若⼿⼝頭発表では,最優秀賞として坂本健太郎君(京都⼤学化学研究所),また優秀賞として,稲葉央君(⿃取⼤学⼤学院⼯学研究科)ならびに福永和⼈君(東京⼯業⼤学⼤学院⽣命理⼯学研究科)の2件の演題が選ばれました(図1)。⼀⽅,ポスター発表でも活発な意⾒交換が⾏われ,ポスター賞選考があわせて⾏われました。選考にあたっていただきました先⽣⽅にあらためて御礼申し上げます。今回の選考該当ポスター発表からは,7題がポスター賞に選ばれました〔受賞者:村井勇太(⼤阪府⽴⼤学⼤学院⽣命環境科学研究科),⼩宮千明(徳島⼤学⼤学院薬科学教育部),上原淳(京都⼤学⼤学院薬学研究科),⼯藤⾵樹(北海道⼤学⼤学院理学研究院),Jan Vincent V. Arafiles(京都⼤学化学研究所),今井智之(静岡⼤学⼤学院総合科学技術研究科),⼭下晴菜(⼤阪府⽴⼤学⼤学院理学系研究科)〕(図2)。
討論会参加者は,⼀般・学⽣・招待・賛助会員を含め,計492名となりました。多くの⽅々にご参加頂いたことを⼼より感謝致します。参加者のうち,海外からは招待講演者を含め40名,参加国は4か国(韓国,アメリカ,フィリピン,カタール)でした。本討論会が英語で運営されていることが徐々に世界的に認知されてきたことが⼀つの⼤きな要因であろうと感じております。これからもこの傾向が続くことを⼤いに期待しております。特筆すべきは,初めてフィリピンからの参加(5名)があったことです。会場での歓談の中で,帰国後,直ぐにフィリピンぺプチド学会(PPS: Philippines Peptide Society)を⽴ち上げ,来年京都で開催される第10回国際ペプチドシンポジウムに参加することを約束しました。
本年度の討論会では,特別講演を企画し,⽇本化学会会⻑である⼭本尚先⽣(中部⼤学・分⼦性触媒研究センター⻑)の講演を⾏いました。ご存知のように⼭本先⽣は,ルイス酸触媒による有機合成化学を精⼒的に進められてこられましたが,最近ではペプチド合成への展開に取り組まれています。今回は,「触媒的ペプチド合成」という演題でご講演頂きました。多くの会員の先⽣⽅の御研究に資するところが⼤きかったのではないかと思っております。また,今回の討論会におきましても,KPPS(韓国ペプチド・タンパク質学会)から Hak Joong Kim 先⽣(Korea University)と Mi Sun Jin 先⽣(Gwangju Institute of Science and Technology)をお招きして招待講演を⾏いました。韓国からは,現 KPPS 会⻑の Jeahoon Yu 先⽣(Seoul National University)を含め,総勢29名の⽅々にご参加頂きました。今後,⽇韓の学術交流がさらに発展することを期待しております。
例年のように討論会3⽇⽬には,⽇本ペプチド学会各賞の受賞記念講演を⾏いました。平成29年度⽇本ペプチド学会「学会賞」は,⾚路健⼀先⽣(京都薬科⼤学)が受賞されました。⾚路先⽣の⽇本ペプチド学会への多⼤なる貢献に対して⼼より感謝致します。また「奨励賞」は,⾕⼝敦彦先⽣(東京薬科⼤学)ならびに鳴海哲夫先⽣(静岡⼤学)のお⼆⼈の先⽣に授与されました。両先⽣の益々のご研究の発展を祈念するとともに,⽇本ペプチド学会への相変らぬご⽀援をお願いする次第です。
ペプチド討論会の前⽇11⽉19⽇(⽇)には,⼤阪府⽴⼤学サテライト「I-site なんば」にて市⺠フォーラムを開催致しました。本フォーラムは,アミノ酸・ペプチド・タンパク質に関する科学を,より多くの⽅々にご理解頂くために,ペプチド討論会年会の開催に合わせて,毎年企画されています。今回の市⺠フォーラムは,「⽣命を⽀えるアミノ酸・ペプチド〜病気と細胞受容体」を主題に開催し,産学の第⼀線でご活躍の4 名の先⽣に,「受容体」とは⼀体何か,病気との結びつきや治療についてわかりやすく解説して頂きました。講演をいただきました松井久典先⽣(武⽥薬品⼯業),伊東祐⼆先⽣(⿅児島⼤学⼤学院理⼯学研究科),松島綾美先⽣(九州⼤学⼤学院理学研究院),佐藤毅先⽣(京都薬科⼤学)に厚く御礼申し上げます。市⺠フォーラムには92名の⽅々の参加を頂き,そのうち65名が⼀般市⺠の⽅々で,また23名が⼤学⽣でした。講演後のアンケートでは,「ペプチドやタンパク質について基礎から最新の研究成果を勉強することができた。」などのご意⾒を多く頂き,フォーラムの本来の役割を多少なりとも果たせたのではないかと思っております。
最後になりましたが,本討論会を⼤阪府⽴⼤学で開催するにあたり多くの企業・財団より,協賛,御寄附,広告掲載,企業展⽰やランチョンセミナー開催のお申し出を頂き,討論会運営に多⼤のご⽀援・ご協⼒を賜りました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。また,討論会の準備と運営,プログラム編成等にご協⼒頂いております組織委員の先⽣⽅(児島千恵,中瀬⽣彦,円⾕健,藤原⼤佑,道上雅孝)ならびに⽇本ペプチド学会事務局の皆様(宮嶋令⼦,森川和憲)に⼼よりお礼申し上げます。繰り返しになりますが,ペプチド学会会員の皆様のご協⼒を賜り,参加者総勢492名の討論会を開催することができました。⼼より御礼申し上げます。以上,2017年度第54回ペプチド討論会のご報告とさせていただきます。
図1 若⼿⼝頭発表賞受賞者 図2 ポスター賞受賞者